フッ素に関するトピックス

 

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                              フッ素化ユニセフも警告

■ 2001年6月、UNICEF(ユニセフ)が水道水のフッ素化を疑問視する内容のレポート("Fluoride in water: An overview")を発表した。レポートは、「1984年のWHOガイドラインでは適切な量の摂取により虫歯を予防できる、としているが、個々人の食事内容や住環境、栄養摂取状況には大きな違いがあり、ある特定の摂取量を適切と判断することはできない」、「フッ素イオンはカルシウムイオンと結合し、歯のエナメル質を強化する、と言われてきたが、これを否定する研究結果が多数出されている現在では、これは事実ではなく推測に過ぎない、との見方が科学者の間でも一般的になっている」、「フッ素の過剰摂取が歯軟骨からのカルシウム流出につながり、虫歯をできやすくし、フッ素症にもつながることは広く知られている」、「スウェーデンの研究によると、幼児から思春期までの子供は大人に比べてフッ素を効率的に排泄できないため、より多くのフッ素を骨内に蓄積してしまう傾向にあることが明らかになっている」など水道水フッ素化を問題視する内容となっている。ユニセフでは現在、地下水に高濃度のフッ素が含まれることで知られるインドで、特に多数のフッ素症例がみられる地域を中心に、インド政府等の協力も得て、水道水の脱フッ素化プログラムを進めている。

子どもへのフッ素サプリメント控えよ(カナダ歯科協会)
■ カナダ歯科協会はガイドラインを改訂し、永久歯が生える前の子供へのフッ素サプリメントの使用を控えるよう呼びかけている。新しいガイドラインは、「フッ素サプリメントの効果を示す科学的根拠は乏しい」、「永久歯が生える前の子供にはフッ素サプリメントは使用すべきではない」などとしている。カナダにおけるフッ素に関する権威であるトロント大学予防歯科学部長(Department of Preventive Dentistry)の歯科医師Hardy Limeback氏(カナダ歯科研究協会前会長)も、「飲み込まれたフッ素はほとんど何の効果も与えない。フッ素のエナメル強化効果は経口内でフッ素が歯に触れた場合にのみ起こる」、「飲み込まれたフッ素は体内でさまざまな副作用を起こし、特に骨や歯にダメージを与える」、「飲み込まれたフッ素の半分以上は体内に蓄積し、加齢と共に増加する」、「水道水フッ素化とhip fracturesや、高濃度の天然水中フッ素とフッ素症(crippling skeletal fluorosisとの関連を示す研究が報告されている)、「現在自分が行っている研究では、水道水がフッ素化されているトロントの住人のhip bonesにはフッ素化されていないモントリオールの住人に比べて2倍のフッ素が蓄積されていることが明らかになっている」、「トロントは36年間水道水にフッ素を添加してきたが、フッ素化していないバンクーバーの方が虫歯発症率は低い」、「長期に渡るフッ素の摂取による人体への影響は分かっていない」など、水道水フッ素化を問題視している。

高フッ素地区で歯の喪失が多い
■ ウガンダで、フッ素濃度の低い地域では虫歯による歯の喪失例はなかったが、フッ素濃度の高い地域では135人中6人(4%)が虫歯で歯を失っていた、との研究報告(Rwenyonyi, et al.)が出されている。同様の社会経済的背景を持ち同様の食生活をしている10歳から14歳までの子供たちを対象にした研究で、水中フッ素濃度が高い地域(2.5ppm)と低い地域(0.5ppm)別に比較し、同じ歯科医師が虫歯の有無について診察したもの。その結果、フッ素濃度が高い地域で、有意に高い虫歯発症率とDMFTスコア(虫歯、歯失、詰め物をした歯)が見られた。

■ 2001年6月の国際歯科研究協会で発表された研究報告(Louw, et al.)では、南アフリカでフッ素濃度が3.0ppmの水を飲んでいる子供たちと、0.19ppmと0.48ppmの水を飲んでいる3地域の子供たちを比較しているが、ここでもフッ素濃度が高い水を飲んでいる子供たちの虫歯発症率が高いとの結果が出ている。DMFTスコアは高濃度地域では1.98、低濃度地域では1.54だった(ちなみに、全米歯科協会誌によると、アメリカの12歳から18歳の子供のDMFTスコアは3.08だった)。 (International Journal of Paediatric Dentistry, 2001/9)

■ EU(欧州連合)内で唯一、1960年代から水道水をフッ素化(73%)しているアイルランドでは、フッ素化していない(もしくは取りやめた)ヨーロッパの他4カ国と10%しかフッ素化していないイギリスよりも虫歯発症率が高い、とアイリッシュ・インディペンデント紙は2001年6月30日付で報告している。アイルランド政府は現在、水道水フッ素化を見直す案を打ち出しており、委員会を設けて検討が進められている。

■ 水道水がフッ素化された国とフッ素化されていない国における過去50年間の虫歯発症率を比較すると、フッ素化いかんに関らず虫歯発症率は減少傾向にあることを示す報告を、アメリカのFluoride Action Networkが2001年8月30日付けで発表した。アメリカなどフッ素化を実施している国では、フッ素化と共に虫歯発症率も減少していることをとりあげて、フッ素化の効果として報告(CDCの年次報告等)しているが、フッ素化されていないその他の国(ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スウェーデン等)でも虫歯発症率は同様に減少していることは無視している。(表参照Flouride Action Network - Tooth Decay Trends: Flouridated vs. Unflouridated Countries )

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