BCG・ツベルクリンは廃止に

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  保護者や教員から「BCGはやらなくていいのか」「ツベルクリンはどうする」「学校からツベルクリンの手紙がきたが」とぞくぞくと問い合わせがきます。今年の3月、厚生省の結核部会(部会長=森亨・結核研究所長)がこれまでくすぶっていたBCG接種を小中学校ではやめるという中間報告を出したからです。具体的には乳児期に1回接種して、それで終わりというものです。やめた理由は簡単で、インドなど数各国で行われた実験の結果、有効性がなかったからです。WHO(世界保健機関)も95年に「有効性を示す根拠はなく、接種を勧めない」と声明を出していたし、97年に韓国、00年に香港で中止され、その後のなんにも不都合がなかったのです。でも、この報道は全国の自治体にパニックを起こしました。自分の学校はやるかやらないか決めないといけないからです。ある教員が「こんな文書が教委から来ました」と渡してくれました。(資料1)。
自治体は予算もつけたし、止めるとも言えないし、自分の責任にもしたくないし、苦肉の策で「BCG接種は受診義務がありません。予診表で予防接種に対する同意の有無を確認しております。」受けるか受けないかを保護者に選ばせようというのです。何か事故があっても保護者が選んだのですから自己責任です。情報がないのですから親に選べといったって無理というものです。ツベルクリンは「健康診断」と位置付け「義務があります」と強く出ています。BCGを受けるかどうかの判断に使う検査ですから、BCGを受けない人は必要ありません。しかし、検査だけ受けろというのです。こんな矛盾することを平気でやるのが間違いなのです。混乱に対し、厚労省は集団ツベルクリンも全廃すると決めました(5月29日に新聞報道)。生後6カ月までの子どもにはツベルクリンなしでBCGを接種するというのです。教育委員会の健康観が問われることになりました。彼らは子どものことより、予算消化や身に降りかかるトラブルがなくなればいいのです。こうした対応が非科学的・没科学的であることはすぐおわかりと思います。事実を無視してまで自分たちの決めたことはやるという態度は健康問題では許されないのです。これが各自治体の現実なのです。マスコミで国の情報が事前に流されるされる場合、国も承知の上で流すことが多いのです。突然、正式に通知をだせばワクチン会社から接種する学校や医師などに多くの混乱が起きます。前もって国の意図していることを知らせるわけです。この、リークされた情報が正式発表になるまでのずれをつかって対策が立てられるのです。子どものためにどうするか考えなければいけない教委が資料のような通知を出すのですから、親もウカウカできません。

資料1 BCG通知(02年4月8日 )
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○○市立小・中・養護学校長 様

                            ○○○市教育委員会
                              学校保健課長
平成14年度結核健診について(通知)

日頃は、学校保健に格別のご理解とご協力を賜りありがとうございます。
結核予防法に基づくBCG接種等について、厚生労働省審議会結核部会より中間報告が発表され、先日、新聞等で報道されました。教育委員会では、健康福祉局に今後の見通しについて確認するとともに、学校医会等とも検討しました。その結果、現時点では国において検討の途上であり、BCG接種の効力の有無についても、何も結論がでていないため、平成14年度については従来通り実施することといたします。
また、別添の「学校医あて」通知文書について、至急、貴学校医(内科系)の先生にご送付いただきますようお願いします。
なお、この件に関して保護者から質問等があった場合は、裏面のQ&Aを参考にしていただきますようよろしくお願いします。

Q1:新聞で結核健康診断関連の報道があったが、平成14年度は実施するのか?
A:新聞で報道されたのは、厚生労働省審議会結核部会から中間報告が発表されたものです。現時点ではBCG接種の効力を含めて何も結論がでていませんし、結核予防法等関係法令の改正もされていませんので、平成14年度については従来通り実施します。

Q2:15年度以降はどうなるのか?
A:現時点では何も決定されていません。15年度以降についてはまったく未定です。新しい情報が入り次第、学校を通じてお知らせします。

Q3:BCG接種を受けさせたくないが、それでよいのか?
A:BCG接種は受診義務がありません。予診表で予防接種に対する同意の有無を確認しております。

Q4:ツベルクリン反応検査を受けさせたくないが、それでよいのか?
A:ツベルクリン反応検査は健康診断として実施するものであり、健診義務がありますので受けてください。(拒否された場合は、保護者とのやりとりを記録にとどめておいてください)

取り扱い注意
Q:学校医から「BCG接種に疑義があるので、協力できない」等といわれたときは、どうしたらいいのか?
A:保護者への回答と同じですが、「現時点では廃止するかどうかも決まっていない。従来通り実施するように、教育委員会から通知を受けている」など、十分に話し合いご理解とご協力を得るようにしてください。それでも、なお納得していただけない場合は、至急,学校保健課まで連絡してください。

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