焼いたり油で揚げたりした加工食品に、発癌物質が含まれていることを示す研究報告が、最近2つ発表された。1つ目の研究は、2002年4月26日付で発表されたスウェーデン国立食品局(Swedish 
        National Food Administration)が行った研究で、ポテトチップスやフライドポテト、ビスケット、パンなど炭水化物を加熱加工した食品にアクリルアミド(acrylamide)という物質が含まれることを突き止めたもの。アクリルアミドの人体に対する影響については明らかになっていないが、マウスやラットの動物実験では発癌性が確認されており、「人に対して発癌性を持つ可能性がある物質」というカテゴリーに分類されている。2つ目の研究は、2002年5月17日付で発表された、イギリスの食品基準局(FSA)による研究報告で、国際安全基準の1280倍以上のアクリルアミドを検出した食品もあったと報告している。これらの研究報告は5月中旬には欧州委員会の科学委員会に報告されており、WHOも6月末にジュネーヴで行われる会議でアクリルアミドを検討課題として取り上げることにしている。(WHO; 
        Nature; CSPI)アクリルアミドの食品からの検出 
         
        WHOからの情報 
        検出したのはスウェーデンの国立食品庁とストックホルム大学の研究者で、アクリルアミドが検出されたのは、ポテトチップ、フライドポテト、フライドチキン等の揚げ物やビスケット、パン等、かなりの高温で調理する食品である。いずれの食品の原料も茹でた場合には検出されないとのことなので、でんぷん質の食品を高温で調理している際に生成しているようである。 
        検出されたアクリルアミドは以下のとおり。 
         
        調理済みの食品1kg当たり 
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        ポテトチップ 330〜2300μg 
        フレンチフライ 300〜1100μg 
        ビスケット 30〜640μg 
        パン(かりかりしたもの) 30〜1900μg 
        コーンフレーク類 30〜1400μg 
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        同じ食品でも濃度にかなりのばらつきが見られ、調理方法の違いによるのではないかと推測している。アクリルアミドはIARC(国際がん研究機関)の発がん分類で2A(probably 
        carcinogenic to humans)となっている。(国立医薬品食品衛生研究所化学物質情報部) 
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