食品への放射線照射についての検討・指示に関する申し入れ

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2010年12月1日
原子力委員会委員長
近藤 駿介 様

照射食品反対連絡会
代表世話人和田 正江(主婦連合会)
飛田 恵理子(東京都地域婦人団体連盟)
富山 洋子(日本消費者連盟)
里見 宏 (食品照射ネットワーク)


照射食品推進停止の申し入れ


 2006年10月、原子力委員会は「食品への放射線照射について」をまとめ、スパイス及び一般食品への放射線照射を解禁するように厚生労働省に通知しました。私たち消費者は原子力委員会の食品照射専門部会の審議を傍聴し、審議資料も検討し、不備の多い審議について問題を指摘してきました。しかし、専門部会は形式的な報告書を作り上げることに汲々とし、本来の目的である事実に基づいた科学的な検討を放棄し、非科学的な報告書を作り上げました。この杜撰な報告書に基づいた通知により、厚生労働省は血税3千万円をかけ照射食品について調査を行い、薬事・食品衛生審議会において「科学的知見が不足している以下の事項について、関係者に情報の収集を要請する」と下のようにまとめました。

●「アルキルシクロブタノン類に関する科学的知見の収集等」について

「科学的知見が不足しているとされる以下の事項について、関係者に情報の収集を要請する。」とし、照射食品中のアルキルシクロブタノン類の生成量及びその推定暴露量。・アルキルシクロブタノン類の毒性(特に、遺伝毒性、発がんプロモーション作用)。

●「 消費者の理解」ついて

原子力委員会に対し、国民との相互理解を一層進めるためのさらなる取組を要請する。

  2-アルキルシクロブタノン類については、照射食品反対連絡会からも再三データの不足を申し入れたにもかかわらず、食品照射専門部会は伝聞による非科学的な引用によって強引に照射食品は安全であると報告書を作り上げました。厚生労働省も原子力委員会の報告書が杜撰で欠陥のあるものと認識し、今回の結果となっています。
一部に古田雅一大阪府立大学准教授らが行なっている「アルキルシクロブタノン類を指標とした照射食品の安全性解析(新たな危害要因の予測や新しい健康影響評価手法に関する研究領域)」が安全性の根拠データとなるといわれていますが、この研究は危害要因の予測研究であって、安全性を確認できる内容になっていません。原子力委員会がこのデータで照射食品の安全性が証明できると考えているなら大きな間違いです。 これ以外にも厚生労働省報告書には問題が指摘されており、照射食品の安全性を国民が納得できる状況はありません。また、厚生労働省より原子力委員会に「国民との相互理解を一層進めるためのさらなる取組を要請する」とされていますが、原子力委員会の全日本スパイス協会を利用した強引姑息なやり方に多くの消費者団体は不快感を持っております。どのような方法を持ってしても食品への放射線照射にほとんどの国民は賛意を示さないことが私たちの調査でも明らかになっています。
 杜撰な報告書をもとにした通知は原子力委員会委員、食品照射専門部会委員、原子力関係団体、全日本スパイス協会など共同による行為で責任は重大です。
 今後、私達は全国の消費者および消費者団体、生協、学校給食関係者、食品業者、食品流通業者など多くの関係者に照射食品の反対と原子力委員会と全日本スパイス協会に所属するスパイス会社の利益誘導を基本にした照射食品推進の実態を広く知らせ反対運動を行なっていきます。また、国会などを通じ原子力委員会の推進する照射食品の問題と、その責任を追及していきます。
 もし、原子力委員会が科学に対して忠実であり、国民の意見を聞く余地がまだ残っているなら、根拠となるデータすらないまま審議してきた食品照射専門部会の責任と、これまでの間違いを認め、照射食品の推進を取りやめるよう申し入れます。
 下記の申し入れについて12月25日までにご回答願います。

申し入れ
1.照射食品の推進をただちに停止されたい。
2.厚生労働省に通知した「食品への放射線照射について」を再提出せず、通知を撤回されたい。

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