食品安全委員会の真っ黒塗りつぶし報告書

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東京新聞で黒塗りの理由が記事になりました。

 食品安全委員会に大阪府立大から3年間で4千万円かけた照射食品の危険を指摘するデータを打ち消す研究報告書が提出されました。(正式名は「アルキルシクロブタノン類を指標とした照射食品の安全性解析」)
6月28日に調整会議が開かれ、7月23日に「食品健康影響評価技術研究課題の事後評価結果について」が食品安全委員会の委員長に提出されました。これまでの異常があると言う実験を否定した内容です。この報告書の結論は「有用な研究である」と評価されていました。

 国会議員の大河原雅子さんが資料請求したところ、提出された報告書は六部236ページから成り立っているもので、そのうち半分以上の127ページ(53.8%)が黒塗りされていました。前文などを除いた「結果」部分がほぼ全部黒塗。特に動物を使った有害性の実験は84.2%が塗りつぶされていました。一番塗りつぶしが少ないは、放射線による生成物の定量法で、2.4%が塗りつぶされていました。しかし、この研究はすでに厚労省が分析法を定めており、この研究自体に研究費を出す必要がなかったと考えられます。

食品安全委員会は黒塗りの理由を「学会誌等に公表するまでという研究者の意向」と説明です。安全委員会の委員を務める主婦連の山根会長には研究者本人から「もうちょっと内容について精査したい」旨の希望があったからという理由で公開を拒否、催促して10月26日に提出されましたが、塗りつぶしは大河原議員と同じものでした。国の研究費を使って提出された報告書を研究者のわがままで、学会等に発表するまで公開するなと言うわがままに便宜をはかり続けること事態が異常です。
実験を公表できない理由があると勘ぐられても仕方ありません。照射生成物のシクロブタノン類の遺伝毒性や発がん性を全面的に打ち消した実験ですから、公表されれば多くの研究者によって追試がされるでしょう。

すでに評価がされ、食品安全委員会のホームページにも評価が発表されているのに、その後、報告書に手を入れるというありえないことが起きています。また、照射食品は厚労省から諮問があれば検討すると言っていたのに、食品安全委員会は「自ら評価」という項目に照射食品を入れて勝手に安全宣言をする危険性が出てきました。食品安全委員会は国民の安全を守ることが目的なのに、報告書すら公表しないという国民への背信行為そのものですが浮き彫りになってきました。

1.「研究の全体の報告まとめ(47/82 57.3%が塗りつぶしページ)」
2.「研究課題全体の総括及びin vitro試験による2-ACBsの有害性の検討 古田雅一(25/38  65.8%塗りつぶし)」
3.「in vitro試験による2-ACBsの有害性の検討、n vivo試験による2-ACBsの有害性の検討 山影康次 古田雅一(27/35 77.1%塗りつぶし)」
4.「アルキルシクロブタノン類のアポトーシスおよび遺伝子発現変化を指標とした安全評価とそれらの分子機構の解明 近藤隆 古田雅一(11/20 55%塗りつぶし)  論文発表済み」
5.「放射線照射による2-ACBの定量法と生成量の確定 ア.天然食品中の2-ACB。イ.照射食品中の2-ACBの含有量。ウ. 2-ACB類の安定性評価 等々力節子 (1/42 2.4%塗りつぶし) 厚労省が違反品を見つけるためシクロブタノン類の分析法を決めている。厚生省の公定法を再検討しているため公表部分が多い。 」
6.「in vivo試験による2-ACBsの有害性の検討 泉啓介 松本耕三 (16/19 84.2%塗りつぶし)」


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