
米国ハワイでこの6月からパパイヤなどに放射線の照射が開始されたもようです。照射はハワイ・プライド有限会社がおこなっています。この施設は放射線の一種である電子線(β線)を果物に照射します。このハワイ・プライドの施設は2000年2月に完成し,6月からパパイヤなどへ照射し市場に出荷すると発表していました。主にパパイヤに照射しますが、ほかにもライチ、ロンガン、ランブータンなどの果物も照射することになっています。
ハワイ・プライド社の照射施設はタイタン社が開発し特許を持つ電子線発生装置で放射線照射します。これまでのガンマ−線照射はコバルト60などの放射性物質を使うため被曝の危険が指摘されていました。しかし,電子線発生装置からの電子線照射だとコバルト60などの放射性物質を使わないため施設で働く労働者などの危険は少なくなると考えられます。昨年末の米国農務省(USDA)が牛肉などへの照射を認可しましたが、新たに建設されている照射施設の多くに、同社の電子線照射システムが導入される予定です。ハワイでも電子線照射システムの、シュアビームが導入されました。米国農務省もこの施設をバックアップしており、施設の建設費等としてハワイ・プライドに690万ドルを貸付けています。2000年2月に行われた施設の完成式にはタイタン社社長、ハワイ州知事、農務省関係者らも出席し落成式が行われています。
ハワイでは1960年代より、果物生産農家および州政府が、コバルト60やセシウム137などの放射性物質を使ったパパイヤの照射を推進する声を挙げてきました。果物についているミバエ(fruit
fly)の幼虫が米国本土に持ち込まれた後で孵化し、米国本土の農業へ影響を与えることが懸念されたため、一部のハワイ産果物の米国本土への持ち込みが禁止されていたためです。(現在ハワイ産の果物には、乾燥熱および蒸気熱による処理で殺虫が行われています。時間はかかりますが品質は十分保たれます)
1998年1月には果物へのガンマ−線照射の是非を巡って投票も行われました(照射反対側が1%の差で負けた)。その後、世論の影響などもありガンマ−線照射を求める声は下火になりましたが、代わりに今度は電子線照射にかわっています(電子線はベイタ−線(β線)と呼ばれる放射線です。ガンマ−線と違うのは粒子であるた透過力が弱いのですが,ガンマ−線と同じく電離放射線です。表面近くで大量のエネルギーが使われるので表面付近でのフリーラジカルや未知の有害物質の生成はガンマー線照射より多いと考えられます。しかし,問題は多くの人が電子線を放射線ではないと思っていて混乱が起きています。例えばガンマ−線とエックス線は同じ放射線ですがエックス線はエックス線発生装置で作られるため呼び名が違うのです。β線というと警戒されますが,電子線というと放射線と思わない人が多いのです)
現在米国では、照射食品の表示は義務化されています。しかし、レストランで料理されたり、加工品になれば照射してあっても表示義務はありません。つまり、市販のフルーツサラダなどに入っている切ったパパイヤなどには、表示義務はありません。
電子線照射では、高速で発射されたβ線が食品についている微生物のDNA狂わせ最終的に微生物が死にます。このメカニズムはガンマ−線と同じです。ですから,照射された食品はガンマ−線と同じように影響を受けます。食品の栄養成分が変化しますし、フリーラジカルや新しい化学物質等も生成します。ただ一つ違うのは、コバルト60などのような放射性物質による照射と異なり、レントゲンのような機械で電子線をだしますから,放射性物質の移動・保管・取扱などによる環境や人体への悪影響等の危険はなくなります。
米国でも果物を対象にした大量照射施設の建設はこれが初めてであり、これに対して現在、米国内で照射に反対する団体等が、ハワイ産パパイヤのボイコット(不買)運動をはじめ、施設に対して稼動を止めるよう求める働きかけなど、施設稼動に反対の声を挙げるよう消費者に広く呼びかけています。
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