米国環境保護庁(EPA)クロルピリホス廃止
    子どもへの危険性を重視

編集部

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 2000年6月8日,米国EPA(環境保護庁)は,有機リン化合物クロルピリホス殺虫剤の住居を含む建物内における使用を事実上全面廃止すると発表しました。なお,この施策については製造企業とも合意ができたうえでの発表となっています。

 クロルピリホスは米国で一般家庭や公共施設などで害虫駆除等の目的等で広く使われてきましたが,こうした場所での使用は今後全面的に廃止になります。また,EPA(環境保護庁)はクロルピリホスの農作物への使用も大幅に規制していく,としています。
 今回の決定は,特に子どもの健康および安全性確保に重点がおかれ,子どもが曝露する可能性の高い家庭内・学校など公共施設および食品などでこれ以上,この殺虫剤が使われないよう厳重に配慮されたものとなっています。しかし,企業との合意で,即時に市場からクロルピリホス製品が全面排除されるのではなく,使用目的ごとにある程度の期間を設けて段階的に減らしていき,限定された一部の使用目的以外については,最終的に全面廃止にまでもっていくことにしています。但し,特に子どもが曝露する可能性の高い場所での使用については早めに対策を取るよう配慮しています。

 合意内容は住居(建物内・庭)および公共施設(病院・学校・公園・福祉施設・ショッピングセンターなど)等の建物内で使用するクロルピリホス製品に関しては,2000年12月1日までに製造中止し,2001年2月1日までに製造業者からの卸売り中止,2001年12月31日までに小売店での販売中止としています。
 また2005年末までには新築建物の害虫防除剤としての使用も廃止しするとしています。農業での使用規制は2000年夏より施行し残留量の大幅な削減を行うとしています。また,居住地等での使用が水道水のクロルピリホス汚染の大きな原因となっていることから,今後こうしたエリアでの使用廃止に伴い,水道水中の残留量も減っていくとみています。
 しかし,一方で,合意内容には,EPAは小売店からダースバン製品を除去するよう指導はしない,とも書かれています。また,ゴルフ場については,具体的に1エーカーあたりの散布制限量を4ポンドから1ポンドに削減する,としています。

 クロルピリホス殺虫剤は米国で「ダースバン」や「エンパイア20」,「エクイティ」などの商品名で製造販売されており,米国の家庭などで最も多く使われている殺虫剤です。このうち,ダースバンは米国のダウ・アグロサイエンシス社(以下,ダウ社)が製造販売しています。一般家庭の住居内および庭での使用の他に,野菜や果物・穀類等への使用や,畜産業での牧草や家畜の耳札等,森林業,シロアリ駆除剤や防蚊剤,ペットの首輪など,非常に広範囲に使用されてきました。農業用製品の商品名は「ロースバン」です。クロルピリホスはこれまで30年以上に渡って使用されてきており,使用総量は膨大です。米国で販売されているクロルピリホスを含む製品は800種類以上になっています。年間に使用される総量は2,400万ポンド(約10,886トン)と推定され,このうち約48%が野菜や果物,穀類の栽培など農業で,残りの約52%がそれ工業・商業・一般家庭・公共施設などで使用されているとみられています。農作物の中で最も高い割合で使用されているのはクランベリー(ツルコケモモ46%)で,次いでリンゴ(44%),ブロッコリー(41%),芽キャベツ(33%),カリフラワー(31%)などとなっています。農作物別の総使用量では,トウモロコシ(27%)と綿(3%)が使用の多くを占めています。農作物以外の使用では,シロアリ駆除(24%)および芝生(12%)が大きな市場を占めています。また,食品を取扱う事業所の24%がクロルピリホスによる処理がされています。また,1988年〜1993年にかけて実施された米国民の尿中のクロルピリホスの有無を調べた研究では,調査対象となった成人993人のうち82%の尿中からクロルピリホスの主要分解代謝産物である3,5,6-トリクロロ-2-ピリジノル(3,5,6-TCP=3,5,6-Trichloro-2-pyridinol)が検出された,と報告されています。
 ミネソタ州の子どもを対象におこなわれた曝露調査でも,対象となった89人の子どものうち92%の子どもの尿中から3,5,6-TCPが検出されています。また,ノースカロライナおよびサウスカロライナ州で1998年に416人の子どもを対象に実施された調査でも,全員(100%)の子どもの尿中から代謝物の3,5,6-TCPが検出されています。

<クロルピリホスの毒性>

 クロルピリホスの使用は人の健康および周辺環境に重大な悪影響を与えている,として,対策等を求める科学者や市民団体などがこれまで何年にも渡ってEPAに働きかけてきました。EPAによると,クロルピリホスの主な中毒症状は,頭痛,視界不明瞭(ぼやける),筋肉の弱り,記憶障害などとなっています。EPAでは特に発達段階にある子どもの神経系統への影響を懸念しています。

<米政府の見直しへの取り組み>

 米国クリントン政府は1993年,全米科学アカデミーの勧告に基づき,殺虫剤等による健康被害からより確実に国民を守るために,子どもへの健康影響を基軸として対策を講じるよう求める提案を議会に提出しました。3年後,議会は満場一致で「食品品質保護法(Food Quality Protection Act)」を可決し,1996年に立法化されました。1999年夏 ,EPAは初めて同法に基づき2つの殺虫剤,メチル・パラチオンおよびアジンホスメチルの安全性について見直しを行い,新たな規制を加えました。そして今回,クロルピリホスの見直しとなったのです。

 EPAでは,クロルピリホスの健康影響および危険性等について広範囲にわたる関連論文の入念な文献調査を行ってきました。そして,調査結果に基づきダウ社を始めとするクロルピリホス殺虫剤製造会社らと協議した結果,今回発表された内容は合意に達したものです。

<見直しで取り上げられた研究:合意文書より抜粋>

 クロルピリホスはコリンエステラーゼ(神経が正常に作用するよう働いている酵素)の作用を抑制し,動物や人の神経系に影響を与えることが分かっていました。さらに,今回,人間を対象にした2つの研究で,人間は動物と同じかそれ以上に敏感に影響を受けることや,男よりも女がやや敏感であることが明らかになりました。また,新生児が成人よりも経口曝露に対して敏感であるなど新しい研究結果も明らかになっています。

 ラットとウサギ,ハツカネズミで胎児の発達・生殖機能への影響を示す研究があります(但し,親動物に毒性影響が現れる濃度での曝露)。ラットの実験では,クロルピリホスに曝露された母ラットから生まれた子どもの脳発達が遅れていることが明らかになりました。また,神経発達分野でも,脳発達への影響(シナプス発達の変調,DNA・RNA・タンパク質合成機能の変調,有糸核分裂の抑制,脳構造の破壊など)を示唆する研究が多く報告されています。そして,これらの影響がコリンエステラーゼ抑制とは別の機序で起こっている可能性を示すデータも報告されています。
 しかし,ラットおよびマウスの各2件の慢性毒性研究では,クロルピリホスには腫瘍などの発癌性はなく,また,突然変異誘発性はみられないと報告されています。

 人への食物からの急性の摂取基準値は体重1kgあたり1日0.005mgとされています。これは,体重1kgあたり1日1mg(LOAEL:最小毒性量)を投与された雄のラットで,投与後3〜6時間に28〜40%の血漿コリンエステラーゼ抑制が観察されたという研究から,体重1kgあたり1日0.5mgをNOAEL(最大無毒性量)とし,これに100分の1の安全係数を掛けて算出したものです。

 食物からの慢性の摂取基準値は体重1kgあたり1日0.0003mgとなっています。これは,体重1kgあたり1日0.22〜0.3mg(LOAEL)の曝露で,有意な赤血球および血漿コリンエステラーゼ抑制が観察された,という5件の犬およびラットの研究から,体重1kgあたり1日0.03mgを経口NOAEL(最大無毒性量)とし,これに安全係数の100分の1を掛けて算出しています。

* LOAEL=最小毒性量=実験動物に与えて何らかの悪影響が出る最小投与量。
* NOAEL=無毒性量=実験動物に一生与え続けても悪影響を与えない最大投与量。
* 摂取基準値=1日に(急性の場合は1日,慢性の場合は一生の間毎日)摂取・曝露しても悪影響を与えない量。NOAEL(最大無毒性量)に不確定数(クロルピリホスの場合は100 [実験動物の固体差のバラツキを10倍,動物と人間の幅を10倍,これを掛け算して100としている)をかけて算出します。


 短期の皮膚曝露のNOAEL(最大無毒性量)は体重1kgあたり1日5.0mgです。これは21日間のラットの皮膚曝露実験で,体重1kgあたり1日10mgで,血漿コリンエステラーゼ45%,赤血球コリンエステラーゼ16%の抑制があったことを基に算定されています。
 中期および長期の皮膚曝露でのNOAEL(最大無毒性量)および長期吸入でのNOAEL(最大無毒性量)は体重1kgあたり1日0.03mgで,体重1kgあたり1日0.22〜0.3mgで 有意な血漿および赤血球コリンエステラーゼ抑制を報告した5件の犬およびラットの毒性研究を基にしています。
 短期および中期吸入NOAEL(最大無毒性量)は体重1kgあたり1日0.1mgで,90日間のラットの吸入実験で特に影響がみられなかった,とした2件の報告を基にしています。また長期吸入NOAELは体重1kgあたり1日0.03mg。ラットの経口神経発達毒性研究で血漿コリンエステラーゼ43%,赤血球コリンエステラーゼ16%の抑制を示した体重1kgあたり1日0.3mgをLOAEL(最小無毒性量)としています。
(*短期=1〜30日,中期=1〜6ヶ月,長期=6ヶ月以上)

 クロルピリホス製品の製造会社側が提出した神経発達毒性に関する研究報告では,ラットの親と生まれた胎児とでは,受ける影響(罹病性など)に明らかな質的違いがあることが示されました。母親ではコリンエステラーゼ抑制が観察され,その子どもでは発達中の脳構造への影響が見つかったのです。

 クロルピリホスを含む殺虫剤については,成人が曝露しても何の悪影響も現れない量(NOAEL)の100分の1の数値が,安全といえる曝露濃度とされていました。しかし,1996年に成立した食品品質保護法では,乳幼児および子どもと13才から50才の女性については,より敏感に影響を受ける可能性があるとみなされた物質(クロルピリホスはこれに該当する)については,さらにこの10分の1少ない1,000分の1の数値を安全といえる曝露濃度とすることになりました。このため,この算出方法で新しく出された基準では,安全とされる曝露濃度の値が極端に低くなり,事実上使用することができなくなったのです。

 食物からのクロルピリホス摂取量については,非常に厳密な調査が行われています。年齢や性別などのグループごとに分けて,急性および慢性的に摂取している推定量(リンゴの残留量を基に算出)を出し,基準濃度との比較をしているのですが,上記のような新しい食品品質保護法の規定により,特に子どもおよび女性については急性・慢性ともに安全曝露濃度がさらに10分の1の数値となります。このため,急性摂取については,実際の摂取量が安全曝露濃度を上回ってしまっている結果が出ました。慢性摂取については,いずれのサブグループでも下回っていました。(下表参照)
 1〜6歳の子どものグループでは実際の摂取量(推定)が急性摂取で安全とされる濃度の355%(=急性摂取で安全とされる濃度の3.55倍)との数値が算出されたのをはじめ,乳幼児で130%,7〜12歳の子どもで258%,13〜50歳の女性で127%となり,全ての子どもと女性のグループで急性摂取安全濃度を上回っていました。そして,子どものケースでは,生のリンゴからの摂取が最も大きな曝露要因となっており,トマトとブドウからの摂取がこれに次いで多いことも明らかになりました。
 これらの実際摂取量を安全とされる摂取濃度以下に収めるため,今回の改正内容にあるようにリンゴとブドウの耐容残留量を0.01ppmに引き下げ,トマトへの使用を止めることで,1〜6歳の子どもグループで82%,乳幼児で52%などに引き下げられる,としています。(下表参照)

表「クロルピリホスの推定危険度:実際の摂取量が,急性・慢性的摂取安全濃度に占める割合」

サブグループ     急性            慢性(*)
------------------------------------------------------------------
                 改正前  改正後      改正前  改正後
全米人口          16%    5%        3%    1%
全乳幼児         130%   52%       33%   11%
1〜6歳の子ども    355%   82%       61%   31%
7〜12歳の子ども    258%   64%       45%   21%
13〜50歳の女性    127%   40%       21%   11%
------------------------------------------------------------------
(*)食品取扱施設での使用による曝露は考慮に入れない数値。

 地下水のクロルピリホス汚染については,3,000ヶ所以上の井戸水のモニタリング・データを検証しています。井戸水からクロルピリホスが検出されることはほとんどなく(3000の井戸の<1%),検出されてもほとんどが0.01ppb以下といった低い数値でした(最高検出値は0.65ppb)。しかし,シロアリ駆除が行われた後の水質調査では狭い地域範囲内で比較的高い濃度でクロルピリホスが検出されており,最高検出値は汚染された井戸の2090ppbでした。(汚染井戸は30ppbまで浄化することが水質基準で定められている。)
 地上を流れる水についても3,000ヶ所以上のサンプルを採取して調査しています。それによると,1,530ヶ所の農業用水の15%,1997年に604ヶ所の一般河川の26%,1994年に57ヶ所(ジョージア・アラバマ・フロリダ)の一般河川の65%でクロルピリホスが検出されました。最高検出値は0.4ppbでした。検出幅は0.026〜0.4ppb。

<人を対象にした研究>

 今回調査された研究文献の中には,人を対象にした研究が3件ありました。しかし,このうち1件は重要なデータが抜けており不完全なものでした。
 研究報告のうちの1件は,1972年に提出されたもので,男性ボランティアに体重1kgあたり0,0.014,0.03,0.1mgのクロルピリホスを9日間,21日間,28日間,7週間投与して影響を調べたものです。0.1mgの9日間投与後に,有意な血漿コリンエステラーゼ抑制(36〜82%)が見られました。また,0.1mg投与を受けた男性4人のうち1人が,9日間の投与後に,視界のぼやけ,水鼻,ふらつきを訴えました。しかし,この0.1mg投与グループでは,血漿コリンエステラーゼ抑制が実験ガイドラインである20〜30%を超えたという理由で,投与実験が9日目で打ち切られています。0.03mgを21日間投与されたグループおよびその他のグループでは投与によるとみられる血漿コリンエステラーゼ抑制は観察されませんでした。また,投与によるとみられる赤血球コリンエステラーゼ抑制は,いずれのグループでも観察されませんでした。
 もう1件の研究報告は,1982年に出された経口急性および皮膚薬理運動研究で,男性6人に体重1kgあたり0.5mgを1回経口投与し,4週間後にこのうち5人に体重1kgあたり5mgを皮膚投与,残る1人に体重1kgあたり0.5mgを皮膚投与したものです。6人のいずれも,投与の影響によるとみられる症状・徴候は見られませんでした。しかし,血漿コリンエステラーゼ抑制のピークは0.5mg経口投与12〜24時間後で64〜85%。赤血球コリンエステラーゼ抑制のピークは投与4日後で11〜52%でした。5mg皮膚投与群は血漿コリンエステラーゼ抑制のピークは投与3日後で27〜45%,赤血球コリンエステラーゼ抑制の中間値は投与4日後の8.6%でした。また,その後,血漿コリンエステラーゼ機能が実験開始前の正常状態に戻るまでには約30日かかりました。
 これらの実験データから,人が動物と同等がそれ以上に,クロルピリホス感受性(血漿コリンエステラーゼ抑制など)が高い可能性が示唆されています。

<主な改正内容>

 EPA(環境保護庁)が2000年6月8日付けで発表したクロルピリホスの規制に関する企業との同意内容の概要は以下の通りです:

■ トマトへの使用を禁止し,耐容量を取り消す。
■ リンゴへの使用を,開花前までに制限する。
■ 居住場所内での使用を全面禁止する。(子どもに対して安全包装対策をとっている蟻駆除剤以外。)
■ 居住地の戸外での使用を全面禁止とする。(制限を設けた公衆衛生上の使用以外。)
■ 以下の場合以外の居住場所以外の建物内および戸外での使用を全面禁止とする:
・ ゴルフ場での使用。
・ 制限を設けた公衆衛生上の使用(蚊防除・蟻塚への散布など)。
・ 制限を設けた工業現場での使用(製造工場・船舶停泊用杭など)。
■ 既存の建物全体へのシロアリ駆除目的での使用を禁止する。
■ 既存の建物への制限を設けた部分的なシロアリ駆除目的での使用を2002年までに段階的に廃止する。
■ 新築建物へのシロアリ駆除目的での使用を2005年までに段階的に廃止する。
■ 上記の使用廃止および制限等を反映し,EPAではこれに加えて,トマトの残留耐容量の法的規制値の取り消し,および,リンゴとブドウの残留耐容量の0.01ppmへの引き下げを提案していく。

<代替品へ>

 クロルピリホスの使用禁止令を受けて,殺虫剤業界では今後代替製品への移行が考えられますが,現在最も有望視されているのが同じく有機リン化合物であるダイアジノンです。しかしEPAは先月,ダイアジノンについての研究報告(草稿段階)も発表しており,ここでダイアジノンがクロルピリホスと同様の健康影響を人に与え,鳥類や水生生物類など周辺環境へも影響を与えることを明らかにしています。EPAのダイアジノンに関する最終的な研究報告は今年内にはまとまるとみられており,その結果,ダイアジノンについてもクロルピリホスと同様の規制が行われる可能性が高くなっています。
 EPAでは,1996年に食品品質保護法が成立した時点で使用許可となっていた殺虫剤すべてについて,食品への残留耐容量(安全濃度レベル)の見直し作業を2006年までに行う,としており,有機リン系殺虫剤については神経系統機能への影響が懸念されるていることから特に優先的に見直し作業を行う予定です。
 害虫駆除業者の中には,より先を見越し,化学物質の使用を極力減らした防除方法に切り替えている会社もあり,化学物質の代わりに植物である除虫菊からの天然抽出成分などを使用しています。しかし一方で,代替薬品としてペット用首輪にピレスロイド系殺虫剤を使用しているものも多いようです。

<日本でも使われているクロルピリホス>

 クロルピリホスは日本でも広く使われており,リンゴやナシのアブラムシ,ハマキムシ,シンクイムシ,樹木のアメリカシロヒトリなどに適用されています。また,殺虫剤としてゴルフ場で使用されたり,住居の防蟻剤やシロアリ防除剤,家庭用殺虫剤や防虫畳としても広く使われています。殺虫剤の商品名はダーズバン。また,シロアリ駆除剤には,カヤタック,クロルピリック,ケミガード-DC,シロアリピリホス,レントレクなどの製品があります。アメリカからのクロルピリホス原体輸入量は87トン(1986年),水和剤の生産量は352トン(同年)です。日本におけるクロルピリホスのADI(1日摂取許容量:人間がある物質を一生涯にわたり摂取しても,現在の毒物学的知見からみて,何ら障害の現れない最大量)は体重1kgあたり1日0.0015mg。日本における使用量は近年少なくなってきてはいるとされるものの,中毒事故などの被害報告は多く,97年に発表された国民生活センターの「シロアリ防除剤の安全性」の中では,クロルピリホスによる事故件数が一番多かったと報告されています。

 一方,米国EPAでは現在,その後新しく出されたクロルピリホスの毒性等に関する研究論文などを引き続き調査検証中で,こうした新データを基にした今後の動向も注目されています。

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